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介護の短期解約特例制度「90日ルール」で何が変わる?

みなさんは介護の「90日ルール」と言う言葉を聞いたことがありますか?
これは簡単に言うと、有料老人ホームに入居した利用者のための制度です。

今回はこの介護業界の「90日ルール」について詳しく調べてみましたので是非ご覧ください。

90日ルールってなに?

これまで有料老人ホームでは、設置運営標準指導指針の中で「90日以内に契約解除をする場合、契約当時に前払いした金額の中から実費相当額を除き全額返還する」と規定されています。

ですが、老人福祉法には位置付けられていないので法的効力がないために、契約後90日以内に契約解除する場合に納入した契約金を返還する制度を設けていない介護事業所も多くありました。

そのため「解約についてのトラブルについての相談」が全国の消費者センターに多く寄せられるようになってしまったのです。

厚生労働省が法制化

このような事から厚労省は「90日ルール」を法制化に乗り出しました。
この90日ルールと言うのがはじめに述べた「90日以内に施設から退去する場合に経費を除き全額返還する」とした短期解約特例制度を法制化する事で拘束力を持たせたのです。

平成18年3月には「有料老人ホーム設置運営標指導準指針」を改正し、介護施設側は利用者が入所時に収めた一時金の全額返還とともに、契約から解約までの期間の利用料と現状復帰にかかる費用を受領する旨が定められました。

90日ルールはクーリングオフ?

有料老人ホームには
・介護付き有料老人ホーム
・住宅型有料老人ホーム
・健康型有料老人ホーム
等がありますが、いずれも入所の際には一時金が必要で、中には数百万円が必要な施設も多くあります。

高齢者の方々が、終の棲家として入居するために高額な一時金を支払ったものの、実際に入居してみたら
「思っていた暮らしとは違っていた・・・」
「契約の時に聞いていたサービスとは内容が違う」
などの不満があったとしたらどうでしょう。

がまんして暮らすことを選択しますか?
こんなはずじゃなかったのにとため息をつきながら暮らしてほしくないですよね。

これらの点から解約を申し出る利用者も少なくありませんでした。
この90日ルールに強制力がなかったために、解約を申し出た利用者側が不利益を被るケースが多かったのですが、「入居して3か月以内なら解約してもお金が返ってくる」ように法制化された事で、利用者側がより快適な暮らしを求めて別の有料老人ホームへ移りやすくなりました。

高額商品を購入したものの思っていた物と違った時に一定期間以内であれば返品と返金を申し出ることが出来るクーリングオフのような制度とも言えますね。

老人介護法改正で90日ルールが明確に

老人介護法の改正では、有料老人ホームにおける「入居者を保護する」という目的からいくつかの改善を行われています。

それまでの有料老人ホームの定義の中に「常時10人以上の老人を入居させ、食事の提供や日常の生活に必要なサービスを提供する事を目的とする施設で、老人福祉施設でないもの」「都道府県は調査権を持ち、入居者の処遇に問題があるなどの場合改善命令などの措置を行える」とあります。

それまでの課題として
・入居時に支払う一時金について、その使用目的などの情報や、万が一
 設置事業所が破産するなどした際の備えが不足している。
・あえて定義に当てはまらないように介護サービスのみを行い、
 食事を提供しない施設が存在する。
などの改善点が挙げられました。

その結果、10人以上と言う人数要件を廃止し、食事・介護・掃除洗濯などの家事・健康管理のいずれかを提供する事がサービス要件となりました。

同時に「一時金保全措置の義務付け」も明確になりました。これは一時金返還がなされないというトラブルに対して入居者側を保護するためのものです。

まとめ

介護業界の90日ルールについてご紹介してきましたが、いかがでしたか?

法的な面があるので少し難しい点もありますが、高齢者の方が希望のサービスを受けられないまま施設を変わることが出来ない、というトラブルを避けるためには大切なルールと言えますね。

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