人生継続計画- Advance Life Planning-

「準備というのは、言い訳の材料となり得るものを排除していく。
そのために考え得るすべてのことをこなしていく、ということ」
これは私が尊敬してやまないイチロー選手の言葉で、自分のポリシーとしている言葉です。
申し遅れました。介護支援センタージョイフル各務原ケアマネジャーの西村です。
ケアマネジャーとして働いていると、この言葉の重みをより感じることがあります。
医療・介護の現場では、「もっと早くご本人の考えを聞いておけばよかった」という声を耳にします。
その背景には、医療やケアの話に入る前の段階で「人生の計画」が共有されていなかったという現実があります。
自分がどんなふうに暮らしたいのか?どんな生き方を大事にしているのか?どんなことを大切にして人生を続けたいのか?
を元気なうちに整理し、周りと分かち合っておくことが大切です。
その準備のひとつが人生会議。厚生労働省が推進するAdvance Care Planning、略してACPを日本版の呼び方ですが、もしものときに自分が望む医療やケアについて、信頼できる人とあらかじめ話しておく取り組みです。
各務原市では、その前段階として「Advance Life Planning(ALP)」を普及啓発しており、ACPの土台になるものです。
人生の設計ができているからこそ、もしものときにブレない選択ができ、ご本人の思いに沿ったケアが実現します。
「人生会議」という言葉は、高齢者や終末期に近い方のものと思われがちですが、本当はすべての人に必要な「人生継続計画」です。
元気な今だからこそ、少しずつ言葉にしておくことが大切です。
先日、両親と食事をしている時「これからどんな暮らしをしていきたいか」と話題になったことがあります。
母は「何も考えてないけど、今は旅行や温泉に好きに行けているから、それが変わらないのが一番かな」と。
こういう何気ない会話こそが、人生継続計画を共有する第一歩です。
特別な場を設ける必要はなく、日常の会話の中で少しずつ価値観を分かち合えば、それで十分です。
現在、私は各務原市の人生会議普及啓発委員としても活動しています。
各務原市では人生会議から価値観を共有できるツールとして人生アルバムを発行しており、私は市民へ普及をしていくためのワークショップや出前講座にも参加しています。
また、その繋がりから6月にはジョイフル各務原へ人生会議普及啓発委員会座長である木田医院ファミリークリニックの木田先生を講師でお招きし、職員への看取り勉強会も開催できました。
木田先生の講義の中では利用者様への問いかけ・聴き方や価値観の理解・共有の大切さを学ばせていただきました。
イチロー選手が語った「準備は言い訳をなくすもの」という言葉の通り、人生の準備は後悔しない選択をするためのもの。
今から始める小さな会話が、もしものときの大きな支えになります。
ぜひ今日から、ご自身の生き方や暮らし方について、周りと語り合う時間を作ってみてはいかがでしょうか。
人生会議は「もしもの備え」ではなく、「生き方を共有する計画」です。