第31回日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会へ参加
グレイスフル塩尻の特別養護老人ホームに所属している言語聴覚士の野寺です。
先日、パシフィコ横浜ノースで開催された「第31回日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会」に参加してきました。
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今年のテーマは「今年のテーマ (いつも楽しく食べる ~多職種による安全な食事の支援~Always eat deliciously!-Prevents aspiration and improves oral food intake.-)」でした。今回、咽頭・喉頭の診察や治療を専門とする耳鼻咽喉科が初めて大会を担当している為に、口腔嚥下に関連した声や耳鼻咽喉科に関する発表が多くみられました。最先端の研究や現場での実践的な取り組みが数多く紹介されており、日本の摂食嚥下リハビリテーションが新たなステージに入っていることを実感しました。
私が特に印象に残った講演が二つあります。
1. ミールラウンドでの多職種連携とICT活用による嚥下機能改善。
「ミールラウンドで情報共有とICT活用により嚥下機能改善に繋げた症例~介護老人保健施設での多職種連携~」の講演は、現場の課題解決に直結する内容でした。
この講演から、嚥下機能改善における多職種連携の絶大な効果と重要性を再認識しました。ミールラウンドで得られた看護師、介護士、管理栄養士、リハビリ専門職などの多職種の気づきを、その場ですり合わせ、リアルタイムで情報共有することの重要性やICTを活用することで、嚥下時の動画や食事量の記録、体重変化などのデータを多角的に分析し、多職種が共通認識を持つことの重要性が理解できました。
2. 在宅での早期発見の鍵は「声の変化」。
また、「嚥下障害にともなう声の変化―在宅療養の場で活用できるか?」という講義も非常に実践的でした。「声のかすれ」や「湿った声質」は、誤嚥や咽頭残留を示す重要なサインであること。日常的なケアの中で「最近声が小さくなった」「食後に声が変わる」といったわずかな変化を見逃さないことが、専門的な評価や受診の重要なきっかけとなり、在宅・施設問わずに日々の生活の中での早期発見に繋がる事がわかりました。
〇参加メリットの最大化にオンデマンド配信の活用
今回の学会の素晴らしい点は、会期後にオンデマンド配信があることです。
「聞きたかったけど、時間が重なって断念したセッション」や、「理解を深めるために復習したい講演」を、後日じっくりと視聴できるのは本当に助かります。
聞けなかったセッション名をリストアップして、期間内にしっかり学ぶ予定です。限られた時間を有効活用し、学びを最大化できるのはハイブリッド開催の大きな魅力だと感じました。
今回の学術大会に参加して、改めて「チーム医療」の重要性を痛感しました。専門職それぞれの知識を持ち寄り、ICTも活用して情報を可視化・共有することで、リハビリテーションの質は格段に向上します。この学会で得た知見を活かし、多職種向けの情報共有ツールの導入提案などチームアプローチに取り組んでいきたいと思います。
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