10年の歩みが結実した、最高峰の一滴。「グランキュヴェ」誕生の物語
冬の塩尻市柿沢地区。
肌を刺すような氷点下10度の朝もありますが、私がサンサンワイナリーに入社した2015年当時に比べれば、冬の表情もずいぶんと穏やかになったようにも感じます。
今は春の訪れを感じさせる、やさしい陽ざしに包まれているサンサンワイナリーのぶどう畑です。
変わりゆく気候、予測できない自然。
その中で、私たちは常に「この土地でしか造れない、人生を彩るワインとは何か」を自問自答してきました。
理想を超えたい、という渇望
2022年、私たちはリブランディングを行い、新たな挑戦をスタートさせました。
当時の最上級ラインは『シャトーサンサン』。しかし、私たちの探求心はそこに留まりませんでした。
「栽培と醸造の技術を極限まで磨き、これまでの自分たちを、そして『シャトーサンサン』を超えるワインを造りたい」
その想いから生まれたのが、最上位シリーズ**『グランキュヴェ』**です。
優良年にしか造れず、一切の妥協が許されない領域。
「どんなタンニン、どんな余韻、どんな香りのボリュームを目指すべきか」
イメージを研ぎ澄ませる日々が続きました。
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023年、天が味方した「奇跡のメルロ」
そして迎えた2023年。それは、私がここでワイン造りをしてきた中で、最も天候に恵まれた年でした。
成熟期に雨が少なく、陽光が降り注ぎ、夜はキリッと冷え込む。
10月上旬、収穫されたメルロは、言葉を失うほど健全で、生命力に満ちた熟度を誇っていました。
「このブドウなら、理想の『グランキュヴェ』へ辿り着ける」
確信に近い期待を胸に、発酵から樽への移動まで、一瞬の隙も作らず徹底的に手をかけました。
2年の沈黙を経て、確信に変わる時
2023年11月、樽熟成を開始。
定期的なテイスティングを繰り返す中、当時のメモには、自分でも驚くほどの高評価が並んでいました。
そして2025年12月。
通常は1年数ヶ月で樽から出すメルロを、今回は初めて「2年以上」熟成させる決断を下しました。2023年のメルロが持つポテンシャルがあまりに高く、その力強いタンニンと香りを花開かせるには、長い時間が必要だと判断したからです。
ステンレスタンクへ移動させた瞬間、確信しました。
「これは、この10年で間違いなく最高品質だ」と。
胸を張って『グランキュヴェ』の名を冠することができる、至高の仕上がりでした。
ついに、その時が来ました
2026年1月下旬。
収穫から2年3ヶ月という長い旅路を経て、『グランキュヴェ・メルロ 2023』の瓶詰めを完了しました。
サンサンワイナリーの最高峰として、私たちが積み上げてきたすべてを注ぎ込んだ一本です。発売日はまだ少し先になりますが、数ヶ月の瓶熟成を経て、皆様にお届けできる日を心待ちにしています。
最新情報は、公式Instagramで順次お知らせいたします。
私たちの10年の集大成、どうぞ楽しみにお待ちください。
サンサンワイナリー
ファクトリーマネージャー(醸造家) 田村 彰吾