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ソーシャルグッド!!「失敗だらけの梅干作り」

社会福祉法人サン・ビジョン サン・サンこども園 ペンネーム:なないろ園長 

こどもが架ける虹は、心の七色。なないろ園長です。

 

 うちの年長さん、ある日私のもとにやってきて、大騒ぎ!!「えんちょうーせんせい。梅干買ってきてもいいですか?」よくよく聞いて見ると、どうやら・・・親子でおにぎりクッキングすることになった。だけど、アレルギーの子もいるから話し合って、みんな同じ具がいいネってことに。だから梅干買ってきていい?って。18名の子どもたちが一斉に伝えるパワーに圧倒されちゃいます。「いいよ」といった瞬間「やったー!!」って。その奥で微笑む担任さん。そしていざ、近所のスーパーにお散歩です。真っ白いスーパーの袋を握り締めたこども達が凱旋します。あとで分ったんですが、一パックに数粒しか入っていない、紀州のホニャララみたいな・・・超がつく高級品。

  それを使っていざ、親子でおにぎりづくり。できあがったばかりのおにぎりを、口いっぱいに頬張り、あちらこちらから「おいしー」の声があがります。(そりゃーおいしいよね~紀州のホニャララ!)

 子ども達のすごいところはココから。

 子どもたち「梅干ってつくれる?」

 担任さん、「どうする?」

 子どもたち「やってみたいーーーつくる!!

  なんともまぁ、すごいです子どもの発想って。さらにその上を行くのは先生。ナント!つくり方を一切教えない。 

 「どうすれば、梅干ってできると思う?」子ども達は悩みます。「そうだ図書館に行ってみよう!」どこかで聞いたフレーズを片手に、市立図書館にお散歩。絶対字なんて読めるはずないのに、本を片手に夢中になって見ていきます。近くにいる大人を捕まえては、これなんて読むの?必要感があるからどうしても読もうとするんです。梅干作りが年長さんのクラスで話題の中心になったためか、家の方にもインタビューしてくる子が出てきます。 

 「どうやらシソの葉を使うらしい」うーんとっても重要なアイテムGET さぁいよいよ、梅干作りスタートです。

 私が見ていたお子さんは、ジップロックに梅干入れて、シソの葉っぱと水を入れまして。It’sシェイクタイム!!30分ほど振り続けて、泡だらけになった梅を取り出し、「たべて!」だって。(いやぁぁぁぁ)となりの子は、テーブルの上に梅を置いて、シソの葉っぱをのせてジッと待つ・・・。(ウソでしょ!!それはそれは、すさまじい光景がクラスのあちらこちらで繰り広げられます。私たちから見えば「なんて微笑ましい」ですが、子ども達は真剣そのもの。

 だってうまくいかないから。

 そこでも担任さん、「どうする?」って、こども達に聞きます。(すげぇな。まだ教えないんだ・・・子ども達はまた話し合い、どうしたらいいか・・・。その時、ある子が「おじいちゃんや、おばぁちゃんなら知ってるんじゃない?」

 そうなんです。うちの園は介護施設と併設なので、いつも交流している皆様がいたんです。子どもたちが介護施設の皆様のところに行って、相談してみます。すると・・・

「梅は、へたを取ってからやるだよ。つまようじ持って来てみ」「シソはなぁ、一回煮出して、二度目のを使うといいだ」「砂糖じゃなくて、角砂糖を使うだよ。ほれ食え!!あめぇぞ♪」子ども達の表情が見る見るうちに輝いていきます。こうして失敗だらけの梅干作りは続いていくのでした・・・。 

 私たちは、失敗しないよう、失敗しないよう、子ども達の先回りをしていることはないか?実は子どものためと言いつつ、その子の可能性を摘んでしまっているってことはないのか?失敗したらやり直せばいい。安心して失敗ができるって、すばらしいことだって思える子になって欲しい。

 保育の仕事のやりがいって、こんな時に感じるのかもしれません。環境を通して、子どもの可能性を広げる、主体性を育てる保育のあり方・・・よく聞きます。関わるスタッフは、実に根気がいるし、どのタイミングでどこまでサポートするのか?この見極め、これこそが教育・保育に携わる専門性であり、人が人とつながりあって成長できる、ソーシャルグッドな姿、こども達に関わる仕事のやりがいだと思っています。 できるようにするのが、保育じゃない。心育てるソーシャルグッドなお仕事なんです。

 私は、この正解を教えないスタッフに、今もとっても感謝しています。

 

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