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だから介護の仕事は素敵です④ ~工夫やひらめき次第で状況は変えられる~

 みなさん、こんにちは。
 今日もこのブログを見に来て下さり、ありがとうございます。

 私が介護職員をしていた頃のこと、Y様という女性利用者様がいらっしゃいました。このY様、お姿をパッと拝見したところ、凛とした雰囲気を持った方でいらっしゃったのですが、認知症を患ってみえたために時々意志の疎通が困難になることがありました。またY様はご自身でトイレに行くことができましたが、間に合わないことも多く、紙製の下着が尿で濡れてしまっていることも少なくありませんでした。

 Y様には清潔を保っていただくために、定期的に下着の確認をさせていただいていたのですが、汚れてしまっている下着を交換させていただこうとお声掛けをしても「汚れていませんよ!」「どこが汚れているというのですか!」とご立腹になってしまわれ、更にお声掛けをすればするほど拒否が強くなって交換させていただけず、不衛生な状態が長く続いてしまう…ということが課題となっていました。

 何故Y様は下着の交換を執拗に拒まれるのか…?
 何故Y様は「汚れていない!」と言い張るのか…?
 どうすれば下着の交換に応じていただけるのか…?
 いつもは凛とされているY様なのに、何故下着のことになるとこんなに意固地になられるのか…?

 どうしたら拒否されずに対応できるのかを考えていたある日のこと、私にY様の下着を確認する機会が訪れました。確認させていただいたところ、下着は汚れてしまっていました。「ああ、また交換を拒否されて押し問答が続くんだろうな…」そう思いつつ、私は「どうせダメだろう」と思いながら軽い気持ちで「Yさん、だいぶ汗をかかれていますね。汗で下着が濡れてしまっていますよ。よかったら新しいものをお出ししましょうか?」とお声掛けをしました。するとY様、「あら!本当!どうしてこんなに汗をかいてしまったんでしょ!」と仰ると共に、「新しいものをいただいてもいいんですか?」とお尋ねになられたのです。

 これ以降、私はY様の下着が汚れていることを確認する度に、「汗で濡れていますよ」等、「汗」というワードを使うようにしました。そして「汗」というワードを使ってお声掛けをすると、拒否されることなく交換に応じていただけるようになりました。おそらく「排泄物で汚れている」と指摘されることは、Y様の自尊心が許さなかったのではないかと思います。そしてその事実を認めたくなかったのだと思います。単に「汚れていますよ」というお声掛けは、Y様の自尊心と羞恥心とを傷付けてしまっていたのでしょう。だから頑なに拒否をされていた。それを少し言葉を変えただけで快く応じていただけるようになるとは…。こうしてひとつの課題を解決するに至ったことで、私は益々介護という仕事が楽しくなると共に、ちょっとしたことが良い結果に繋がることもあるという奥深さを考えさせられるようになったのでした。

 何気ないことが良い方向に進むことがあります。「どうにもならない」と思っていたことが、ちょっとしたことで改善されることもあります。それはほんの些細な工夫やひらめきによってもたらされます。そして、その工夫やひらめきを活用して事態が良い方向に動いた時、心の中で「ヨッシャーッ!」とガッツポーズを作って叫びたくなります。介護という仕事に携わっていると、こういった瞬間に出会えることも多々あります。

 この度はお読みいただき誠にありがとうございました。
 また見にいらして下さいね。

                                   介護老人福祉施設ジョイフル名駅
                                          施設長 原 浩輔

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