バイスティックの7原則~一緒に働く仲間を育んで~
こんにちは。特別養護老人ホーム/ショートステイホーム グレイスフル木曽で生活相談員をしています百瀬志枝です。
タイトルにある「バイスティック」を知っているあなた、福祉にご縁のある方ですね。初めて聞くという方、ぜひこの機会にお伝えしたいです。
まずは自己紹介から。私は生まれも育ちも長野県です。高校卒業後は進学して、就職して・・・だけど私は何がやりたいのかな?漠然とした将来の悩みを抱えながら、人の気持ちに寄り添える人でありたい、将来は福祉の仕事に就きたいと思い、東京にある昭和女子大学に進学しました。そして、福祉と一口に言っても、さらにその中でさまざまな分野があることを入学してから知ることとなりましたが、砧ホームの相談員さん、成城アルテンハイムの施設長さん、昭和大学リハビリテーション病院のソーシャルワーカーさんをはじめとした、大変お世話になった社会福祉士の先輩方の姿を見て、目標像ができました。
4年生の夏に、長野県社会福祉協議会が主催していた福祉の職場ガイダンスへ参加し、社会福祉法人サン・ビジョン グレイスフル下諏訪の事務員さんの温和な人柄に触れ、採用試験を受けたことが、今こうしてグレイスフルで働き続けていることのきっかけでした。
さて、「バイスティックの7原則」に戻ります。アメリカの社会福祉学者フェリックス・P・バイスティックが、ケースワークの原則としてその著書に記した内容が起源とされます。福祉系の学校では一授業にとどまらず、各分野の授業で耳にする原則です。そしてテストにも出るので、学生も必然とその単語を覚えるものです。が、しかし。単語の暗記に終わらず、原則の中身にこれまで何度も助けられてきました。
①個別化の原則
②意図的な感情表出の原則
③統制された情緒関与の原則
④受容の原則
⑤非審判的態度の原則
⑥自己決定の原則
⑦秘密保持の原則
対人援助の仕事は、「私」とは別の価値観をもつ人との関わりですから、当然相手が私と同じように考えるとは限りません。ときに、「え!?なんでそうなるの?」という驚きの連続です。相手が感情的になっているその場面は、それが怒っていたり、泣いていたりするとこちらもハラハラするものですが、しかしチャンスでもあります。その方が抑えていた感情を表出してくれた、何に悩んでいるのかをさらけだしてくれた、そこに寄り添って私に何が出来るかを考え前進できるのですから。これ、原則の②、ですね。
福祉のことも、対人援助技術のことも、関係ないなと思われるかもしれませんが、これ、日常生活でもとても活きてくるのです。たとえば家族、恋人、友人と喧嘩したときでも、一呼吸おいて冷静に考え直してみてください。この原則の一つ二つ取り入れてみてください、きっと仲直りできますよ。
学生の頃に大変お世話になった先輩社会福祉士の姿を見て、力不足ながら、依頼がある都度社会福祉士の実習生を受け入れてきました。教えたいことの重要ポイントの一つは、いつもバイスティックの7原則です。実習の経験が、将来同じ業界で働こうと思ってくれるきっかけになったらとてもうれしいですが、ちょっと欲張りかもしれません、身近なもとの感じてもらえるだけでもうれしいですね。
社会福祉法人サン・ビジョンでは、法人職員のための相談員養成コースが運営されています。どんな仕事でも、初めからなんでもそつなくこなせるものではなく、経験を重ねていくなかで仕事が板についてくるものです。経験は、経験を通してでしか得られませんが、相談員を担ううえで必要となる基本的な知識・スキルの習得もまた大切です。その習得機会が相談員養成コースとなります。複数回の講義や実習などを、現任の相談員が支援しています。先日行われた講義は、「重要事項と契約書の説明について」「利用者、家族ニーズの捉え方について」というものでした。人を育てることは簡単ではありませんが、熱心に学ぼうとするコース受講者の姿に、仲間が増えていく期待が膨らみます。
人を育てるばかりでなく、自分自身が受けた印象深い研修は、社会福祉法人サン・ビジョンが毎年行っているサンフランシスコ研修です。10日間の海外研修であること、法人職員とはいえ顔なじみでない先輩職員と過ごすこと、それらに不安を感じながらでしたが、終わってみればとても楽しかったことを思い出します。対人援助で必要とされる、自分を知り、自分の感情をコントロールすることの学びだけでなく、10日間職場から離れて学ぶ環境はリフレッシュにもなりました。
でも・・・異文化で過ごす非日常もでいいですが、私はやっぱり日本文化がしっくりきます。お休みで出かける国内旅行で日本文化に触れたり、美味しいものを食べる時間が幸せです。
長々とお付き合いいただきありがとうございました。この後は、幸せいっぱいなグレイスフル上松の澤田相談員にバトンタッチしたいと思います。