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チャンネルを合わせる From  katu

 どうしてここから出られないの。
 私は家に帰って、旦那や子供達のご飯を作らないといけないのに・・・。
 もう日が暮れるじゃない。
 旦那や子供が心配しているから早く帰りたい!
 家に電話して、迎えに来るように言って!
 どうして、あなた達は私を閉じ込めるの!

ある利用者様が施設玄関の前で、出入口のドアを叩きながらこう言われる事が
ありました。

認知症の方は、現状を理解できないで混乱される事があります。
事実、この方の場合、旦那様は他界されていて、お子様も家を出てみえて、
1人での生活が難しくなり施設を利用されている状況でした。

職員の対応として、どういう対応が望ましいのでしょうか。
①家には誰もいないし、帰ってご飯を作る必要もない、1人では帰られないから
 泊ってください。と伝える。

②旦那様、お子様のお名前をお伝えしながら、話を聞いてみたり、一緒に玄関
 から外に出て歩いてみる。

実は両方の対応がありましたので、結果、どうなったかというと
①「家には誰もいないし、帰ってご飯を作る必要もないですよ。1人では帰られ
ないから今日は、泊ってください。」
→「何を言っているの。そんなことはない、早く帰らないとみんなが困る。
  早く開けてよ、いい加減にして!」と言って、さらに出入口のドアを叩かれ、
  職員が入れ替わり話をしようとするのですが、「もういい!」と言って、
 ドアの前で立ち往生され、しばらく時間を置いて声をかけ、近くにイスを
 用意し座って頂き、お話しをするのですが「帰る」と言われ続け、立ち
 替わり、職員が声をかけ、1時間ほど経って居室に戻って頂きました。

②旦那様、お子様のお名前をお伝えしながら、話を聞いてみたり、一緒に玄関
から外に出て歩いてみる。
→「どうしてあなたは知ってるの、お話ししたことがあったかしら。ありがとう。
 何とか歩いて帰れるかしら」。と少し険しい表情が和らいで言われ、
しばらく
外を歩いたが、足が痛くなられたか、「トイレ行きたい」と言われ
 施設戻り、居室に戻られました。

その後、何度か同様な事が起きた都度、話す内容を合せ、職員が付いて
玄関先を歩き、施設に戻るという対応が続きましたが、現在は落ち着いて過ご
されています。しかし、また同様に不安になられる可能性もあるので、その時は、
同様の対応をしていく事を想定しています。

チャンネルに合せる
認知症の方は、記憶がうまく引き出せないため、思い出せる記憶を頼りに行動
をされます。恐らく、この方は、30~40歳頃の記憶から、家に帰らなければと
考え行動されたと推測します。知らない場所で、知らない人に、夫や子供は
いませんよと言われたらどう感じるのでしょうか。
知らない場所で、知らない人だけど、夫や子供の名前を知っている人がいて、
一緒に動いてくれる人がいたらどう感じるのでしょうか。

認知症の方は、色々な事がよくわからないという不安を抱えていると言われて
います。
ある当事者の方は「ずっと濃い霧の中にいる感じ」と表現されています。

その方に「チャンネル合せる」ために、
今の言動を観察し、そして、何に対して不安や不快に思っているのか。
ご自身では説明できない体調の不調なのか。

又、過去の記憶や事柄から不安等になり動いてみえるのか。
色々想像し合せていく姿勢が認知症ケアではとても重要だと思います。

今や認知症の方は700万人いると言われていますし、色々な情報が広く発信
されています。少し前ですが、テレビのドラマで若年性認知症をテーマにした
「大恋愛~僕を忘れる君と」というドラマが放映されていました。
ネタバレになるかもしれませんが、終盤、進行していく妻に対して、夫の
ムロさんは、本来であれば、記憶が少しでも戻り、自分を認知して欲しいと
思うと思うのですが、混乱させないよう、海岸で静かに横に座り、初めて会う
ような会話から過ごすシーンがありました。認知症ケアの姿勢を表現されて
いると感じました。それ以外でも少し前になりますが、渡邊謙主演の映画
「明日の記憶」もリアリティがあり印象深い作品でした。もし興味があれば
一度、見て頂ければと思います。

サン・ビジョンでは、
認知症があり不安を抱えている利用者様の横に座って、手を差し伸べて頂ける
方を大募集しております!
少しでも興味がある方は、採用に関する色々な情報が載っている採用情報を
クリックしてみてください。

今後も、機会がありましたら、「福祉の仕事」について、個人的な見解には
なりますが、ご紹介させて頂ければと思います。

閲覧頂き、ありがとうございました。 JF布袋 林 克幸

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